アロマテラピーインストラクターのつちです。精油を顔に使ってもいいの?という質問をよくいただきます。
結論から言うと、スキンケア向きの精油を1%以下の濃度にすればOK。しかし、使い方や量を間違えると肌トラブルにつながることが。
この記事では精油をフェイスケアに取り入れたい方に向けて、精油の選び方、おすすめの精油、使い方をまとめます。
目次
なぜ精油がスキンケアに良いの?
精油がスキンケアによいのは2方向からのアプローチができるからです。
ひとつめは嗅覚から脳に伝わるルート。本能をつかさどる部分にダイレクトに働きかけます。嗅いでから大脳辺縁系に届くまでの時間は1秒以下。
もうひとつは血液によって全身へとめぐる薬理作用のルート。精油は分子が小さいため表皮から真皮へ浸透し、血管やリンパ管に吸収されて全身に運ばれます。
皮膚からの浸透のほかにも、鼻や呼吸器から血管に届いて作用する場合もあります。
嗅覚と血管、2つのアプローチで内と外から癒やす。これが精油を使ったスキンケアの魅力です。
顔に使う精油の選び方
顔に使う精油を選ぶポイントは3点。
- 香りが好みか
- 求める作用があるか
- 光毒性がないか
ひとつめは香りが好みであること。ここが大前提です。効果を追求するあまり、好きではない香りやブレンドでも使おうとする方がいます。
香りは直接脳へ働きかけます。好きな香りは嗅ぐだけでよい作用があり、それだけでもスキンケアにつながります。苦手な香りだと効果が感じられないことも。
次に、求める作用があるか。精油は植物ごとに個性があります。悩みに合った精油を取り入れると目指す肌に近づきます。
最後に、光毒性がないか。一部の精油には光に当たるとシミの原因となりやすい物質が含まれています。朝に使う場合は注意が必要。
光毒性をもつ精油
光毒性がある精油を肌に使うと、シミの原因になることがあります。フロクマリン類という物質が日光(紫外線)にあたることで発生します。
- ベルガモット
- グレープフルーツ
- レモン
特にベルガモットはフロクマリン類の比率が最も高く、次いでグレープフルーツ、レモンとなります。
どの精油も顔につけてから6時間ほどは日光に当たらない方がよく、日焼けサロンで使用するUV機器もNGです。ネイル用のUVライトも気を付けた方がよいでしょう。
フロクマリンフリー(FOF)と記載がある場合は、光毒性の原因となる成分を抜いているのでいつ使用しても大丈夫です。
ちなみに、柑橘系=光毒性という認識が広がっていますが誤りです。フロクマリン類の含有量が極めて低い「オレンジスイート」、花を水蒸気蒸留する「ネロリ」は光毒性の心配はありません。
顔に使用する際の注意点
絶対にやってはいけないことがあります。
- 原液を直接肌につけること
- 精油を触れた手で目をさわること
どちらも病院送りになりかねないです。
自分はユーカリ精油の原液がついた手で顔を触ってしまい、膿疱(のうほう)というブツブツができたことがあります。
フェイスケアにおすすめの精油
精油の効果や効能はさまざま。
香りと効能が好みのものを選ぶと、よりスキンケアが楽しくなります。
真正ラベンダー
禁忌がなく万人に使いやすい精油。効能としては癒し、リラックス、誘眠、抗炎症、清潔さの保持。抗炎症作用のある酢酸リナリルを40%ほど含み、心と肌の鎮静に向いています。
精油の父ともいわれるフランス人学者「ルネ・モーリス・ガットフォセ」が、この精油を自身の火傷に使い、驚くほどきれいに治ったことからスキンケアへの活用が始まりました。
ラベンダーは何百もの種類に枝分かれしている植物です。スキンケアには香りがやわらかい真正ラベンダーがおすすめ。
プロから絶大な支持を得るラベンダー精油はプラナロム社の「ラベンダー・アングスティフォリア」。
100%オーガニックで有名なプラナロムを代表する精油です。蓋を開けた瞬間、別世界へといざなわれます。何本もリピートしています。
パルマローザ
スキンケア作用にすぐれた精油で、乾燥、エイジング、ターンオーバーの正常化、シミ・シワなどあらゆる効能があります。コラーゲンの生成にかかわる繊維芽細胞をサポートする可能性があり、研究が続いています。
アロマテラピーインストラクターの養成講座でスキンケアによいと教えてもらい、エイジングケアに使用しています。
さらに抗菌力の高さは精油の中でもトップクラス。さわやかで少しアクセントのある香りはブレンドにも適しています。
パルマローザ精油は「葉」から取れるためそれほど高価ではなく、安価なものだと1000円以下で手に入れられます。それゆえオーガニック製品にも手が届きやすいのが魅力。
せっかくですので顔に使用する場合は100%オーガニックのプラナロム社の精油をおすすめします。世界最高峰のパルマローザ精油を自宅で楽しめるなんて素敵。
フランキンセンス
美肌の精油として有名なフランキンセンス。α-ピネンを50%以上含み、血流をよくすることから、肌のハリやむくみの除去に向いています。神聖な香りは、心と肌を鎮め、やさしく整えます。
フランキンセンス精油は画像のような樹液から抽出。気持ちを落ち着ける作用にすぐれており、足湯への使用もおすすめです。別名は「オリバナム・乳香」。
効能は文句なしのフランキンセンス精油。しかし粘度が高くて扱いにくい上にオーガニックは非常に高価。まずは手ごろな価格の精油で雰囲気をつかむのがおすすめです。
「リバティライフ」の精油は中間業者なしで安価。もしフランキンセンス精油が顔に合わなくても寝る前の足湯や蒸気浴に活用できますよ。
ローズオットー
若々しく輝きのある肌にみちびくローズオットー。勇気がわき、異性を魅了する、心理面でもすばらしい作用がある精油です。繊細で高貴な香りは他のどんな香りにも変えられない芳しさ。
価格を気にしなければ名実ともに最高の精油。ローズの芳香蒸留水には肌を明るくする作用があり、併用するといっそう効果的です。
薬剤をつかって抽出する「ローズアブソリュート」には若干の刺激があります。スキンケアにはローズオットー(水蒸気蒸留法で抽出したローズ精油のこと)または超臨界抽出法によるローズ精油をおすすめします。
数あるローズ精油の中でも一番人気は、高貴な香りで名高い「ダマスクローズ」。アロマテラピーの作用もさることながら肌への即効性も抜群。瑞々しく艶のある肌へと導いてくれる女神のような精油です。
しかし、ダマスクローズの精油100%は10mlで数万円と非常に高価。
そこで、スキンケアに使用する場合は植物オイルで希釈したローズオットーをおすすめします。ホホバオイルで希釈したものは肌なじみがよい上にお値段がぐっと抑えられます。
こちらの製品はダマスクローズを水蒸気蒸留したローズオットー精油をホホバで希釈したもの。
精油40%、ホホバ60%と十分な量のダマスクローズが配合されているため、美肌作用もばっちり。しかもスポイトタイプで使いやすさ抜群。
思ったより高い…!と思った方へ。全く高くないです。むしろお得です。
ブルガリアから並行輸入で取り寄せていたダマスクローズ40%くらいの美容オイルは20mlで2万円オーバーでした。上記の40%希釈10mlで一万円以下はお得といえます。
これがダマスクローズの価格感。対価もメリットも特大。
ネロリ
ビターオレンジの花から抽出されます。少し苦味のある柑橘系の香りは疲れた心を至福へと導きます。美肌作用が高く、乾燥肌、エイジング、くすみ、明るさのケアに向いています。
ローズと並ぶ高級精油で女性に人気。芳香蒸留水(フローラルウォーター)もありますが、精油の方が本来の良さを楽しめます。
ネロリは花からの水蒸気蒸留法による搾油のため、光毒性はありません。
ネロリも100%精油は大変高価。最高級品は5mlで2万円ほどと二度見する価格です。しかも100%ネロリは香りが強く酔う方多数。希釈オイルの方が香りと効能をバランスよく楽しめます。
希釈濃度は5%ほどでも十分。以前マレーシア旅行で購入した5%ネロリ(ホホバ希釈)で自作化粧水を作ったところ、肌がとっても明るくなりました。
こちらはホホバオイルで3%に希釈したネロリ精油。敏感肌ですがトラブルなく使用でき、ネロリらしい香りもきちんと感じられました。親しみやすい価格がありがたい。
ローズウッド
癒しと再生の精油。個人的にスキンケアに多用しているオイルです。肌の再生を促す作用があり、代謝が落ちる30代以降の方に。高貴な花とウッディが交差する香りで精油の森にいるよう。
皮膚刺激が少なく、敏感肌の方にもおすすめできます。禁忌はありません。
もとは木の幹から抽出していましたが、減少が著しいためワシントン条約での保護対象となり、葉から水蒸気蒸留をした精油が主流になりました。
個人的には生活の木の「ローズウッド精油 オーガニック」を愛用していたのですが、流通量の減少により取り扱いがなくなってしまいました。
今後はこちらのローズウッド精油にお世話になるつもりです。すっかり希少精油になってしまいました。
番外編:月桃
大御所のローズやネロリに匹敵する美肌作用があるものの、独特の香りと芳香の強さでハードルが高い月桃精油。
沖縄に住んでから魅力を知り、あれこれ試しましたが自作コスメにはおすすめしがたい。でも、美肌作用は本当にすごいんです。月桃を用いる場合は既製品を強くおすすめします。
詳しくはこちらの記事へ。
一番のおすすめ既製品は「RUHAKU」。100%沖縄・浜比嘉島産のオーガニック月桃を使用。公式サイトで990円のお試しセットが販売されています。私もこのお試しからすっかりハマりました。
スキンケアへの効果的な使い方
精油の良さをダイレクトに感じやすいのは、キャリアオイル(=植物由来のベースオイル)で精油を薄めて使う方法。
キャリアオイルの有効成分も取り込むことができて一石二鳥。好きな精油とキャリアオイルの組み合わせで至福のスキンケアタイムに。
希釈におすすめのキャリアオイル
植物由来のキャリアオイルにはさまざまな種類があります。酸化しにくく、精油とのブレンドに適したものをピックアップ。
スクワラン
無色無臭でノビがよく、精油の香りを存分に楽しむことができます。皮膚刺激が極めて少なく酸化しにくいため、多くの化粧品に配合されています。肌なじみが良いのが特徴。
サメ由来のものとサトウキビ由来のものがあり、使用感はほとんど同じです。
ホホバオイル
ホホバの実から抽出される植物ロウ。ノビがよく酸化しにくい。未精製のゴールデンホホバオイルには種子臭があります。
未精製・精製済いずれも保湿にすぐれています。
マカダミアナッツオイル
人間の皮脂に近い「パルミトレイン酸」を含むため肌へのなじみが良く、スキンケア製品に多用されています。酸化しにくく使いやすいオイル。若干の種子臭があります。
精油をキャリオイル(植物オイル)に混ぜる方法
スキンケアに使用する精油とキャリアオイルが決まったら、いよいよ自作。
精油と植物オイルを1種類ずつといった、シンプルなブレンドからはじめると失敗が少ないです。
用意するもの
- 好きなキャリアオイル
- 好きな精油
- 遮光瓶(10~50mlくらい)
- 計量用のビーカー
容器はガラス製の遮光瓶がおすすめ。透明瓶は紫外線による劣化が早くなり、プラスチックは精油の成分により溶けます(ごくわずかですが)。
自作の化粧品はどうしても劣化が早いので、少な目につくるのをおすすめします。10mlくらいを都度つくるのが理想的。
作り方
作り方自体は簡単。消毒をした瓶にキャリアオイルを入れ、精油を垂らすと完成です。
- 遮光瓶を熱湯消毒し、十分に乾かす
- キャリアオイルを容器の9分目くらいまで入れる
- 2に精油を垂らす(滴数は下記を参考に)
- 瓶のフタをしてゆっくりと混ぜる
ブレンドよりも消毒の方に時間がかかります。自作コスメでは避けられない工程です。
顔に使用する場合の精油の分量
最初は0.5%以下にするのをおすすめします。1%だとかなり強く香ります。市販の化粧品は0.3~0.5%くらいです。
私たちが手にする精油は植物の精油成分がぎゅっと凝縮されたもの。1滴に何キロもの植物が使われていることがあります。
天然の成分だからといってたくさん使っても安心ということはありません。むしろ注意しすぎるくらいでちょうどよいです。
顔に限らず、日本ではスキンケアに使用する場合の濃度は1%以下が望ましいとされています。特に法令にはありませんが、アロマテラピーを推進している各団体で定めています。
精油の滴数・濃度の早見表
キャリアオイルの量 | 精油の滴数 | 精油濃度 |
---|---|---|
10ml | 1滴 | 0.5% |
10ml | 2滴 | 1% |
20ml | 2滴 | 0.5% |
20ml | 4滴 | 1% |
30ml | 4滴 | 0.5% |
30ml | 6滴 | 1% |
50ml | 5滴 | 0.5% |
50ml | 10滴 | 1% |
たくさんブレンドするほどよいの?
答えは「ほぼYES」。精油には「シナジー効果」というものがあり、ブレンドによって互いの長所を高め合う作用があります。
キャリアオイルも混ぜることで栄養素を補ったり、使用感をよくすることができます。
寄せ鍋やブイヤベースから奥深い味がするように、精油やキャリアオイルも混ぜ合わせることで魅力が増すことが多いです。
研究好きな方はブレンドを追求するもよし、精油やキャリアオイルをたくさん揃えるのはちょっと…という方はブレンドされた市販品を使うのもいいと思います。
自作の化粧品の消費期限は?
3週間以内に使い切ってください。夏場は冷蔵庫での保管をおすすめします。
3週間未満でも匂いがおかしくなっていたら使用をやめて破棄してください。そのまま使うと肌トラブルにつながります。
過去に自作化粧水を腐敗させてしまい、顔がブツブツだらけになりました。
さいごに
アロマテラピーインストラクターを目指したのは、精油をつかったスキンケアに興味があったことが大きいです。
今ではオリジナルのスキンケアを作れるようになり、心から学んでよかったと思っています。
植物の個性を感じながらブレンドをするのは楽しいものです。好みや肌の調子に合わせてカスタマイズできる点も◎。
好きな精油でふんわりとしたリラックスタイムをお楽しみください。